カエサルの「ガリア戦記」冒頭の一節です。ここに出てくる「アクィタニ人」、これがバスク人を指すと言われています。ガリア全体は、三つの部分に分かれていて、その一つにはベルガエ人が住み、もう一つにはアクィタニ人が住み、三つめには、その土地の人の言葉でケルタエ人とよばれ、われわれローマ人の言葉でガリア人とよばれる民族が住んでいる。この三部族は、お互いに違った言語と習慣と制度を持っている。
一説にはクロマニヨン人の直系の子孫であるとすら言われ、ケルト、ローマ、ゲルマンが次々と通り過ぎて行ったイベリア半島付け根、ビスケー湾岸で、バスク人は一定以上の独自性を先史時代から現代まで保ってきました。
この独自性を保つための原動力の一つになったのが、バスク人の海の民としての一面であったといわれています。
バスク人というとバスク地方にがっちり根を下ろした人たち、、といったイメージを持ちがちですが、バスクの伝統では親の遺産は長子に一括して相続されることになっており、それ以外の子は生地を離れて身を立てることになります。
その身を立てるための手段の一つが、船乗りでした。
例を挙げると、世界一周を達成したマゼランの船で最後まで生き残った10人のうち、4人までがバスク人でした。有名どころを挙げるとフランシスコ・ザビエルもバスク人です。また、私掠船の乗組員として活躍したバスク人もいたようです。
この船乗りとしての能力は、中世から近代にかけてバスクに経済的な安定をもたらし、バスクの独自性を保つための原動力の一つになりました。何をしていたかと言いますと、クジラ漁と、そしてタラ漁です。
特にタラ漁はバスク人の独壇場だったようで、中世の伝説に、「漁師が体長3フィートの人語を話すタラを釣り上げたが、話した言葉はバスク語だった。」という話が伝わっているほどです。
西暦1000年ごろまでにはバスク人は塩漬けのタラの販路をヨーロッパ中に広げ、収入を得ていましたが、謎が一つありました。バスク人以外は誰も、バスク人がどこでタラをとってくるのか知らなかったのです。それゆえにバスク人はタラ漁で安定した収入を得ることが出来ていたのですが。
この謎が解けたのは15世紀も後半になってからでした。まずジェノバ人のジョバンニ・カボート、イギリス名ジョン・カボットがコロンブスに遅れること5年、1497年に新大陸の北東の端、今で言うニューファンドランドに達し、そこでタラの大群を発見します。
さらにその37年後、フランス人のジャック・カルティエがニューファンドランドに隣接するセントローレンス湾で、バスク人の大魚船団を発見し、ついにバスク人のタラの謎は暴かれることになります。
バスク人がいつから新大陸に達していたのかはよくわかっていませんが、少なくともコロンブスより先に新大陸を「発見」していたのは多分間違いないと思われます。
さて、コロンブス以前の新大陸の「発見」というとヴァイキングのヴィンランドが有名ですが、これとバスク人のタラ漁とは面白いつながりがあります。
・ヴィンランドはニューファンドランドであるという説が有力。
・ヴァイキングはグリーンランドやヴィンランドへの航海の際、干したタラを食料とし、余った干しダラを北欧諸国に輸出していた。
・9世紀のバスク沿岸へのヴァイキングの襲撃が、バスクの漁業発展のきっかけになった。バスク人はヴァイキングから漁業を学んだらしい。
バスク人はヴァイキングからタラの漁場を教えてもらったのかなあ、などと色々妄想が膨らんで面白いですね。
読んだ本
・「バスク人」ジャック・アリエール著 萩尾生訳 文庫クセジュ
・「鱈 世界を変えた魚の歴史」マーク・カーランスキー著 池央耿訳 飛鳥新社
・「ガリア戦記」ユリウス・カエサル著 國原吉之助訳 講談社学術文庫
メンデス・ピント
↑この人の自伝なんですけどね。東洋遍歴記という書名です。
16世紀のポルトガル人の冒険家で、インド・東南アジアからさらには日本にまで渡り、火縄銃を日本に伝えた人だそうです。
DOLプレイヤーとしてはwktkが止まらない内容なわけでして。
絶版と書きましたが、正確には全三巻のうち第二巻のみは現在でも普通に入手可能でして、すでに手元にあります。で、問題は第一巻と第三巻。アマゾンのマーケットプレイスには出品なし。平凡社の目録でも在庫無になっていたので、こちらは絶版になっているものと思われます。
で、あきらめきれなかったのでマーケットプレイスの予約注文という機能を使ってみました。この本をいくらで買いますよー、というのを提示して、売ってくれる人が現れるのを待つというシステムです。
そして数日待ちました。反応なし。
そしてまた数日が経ち、1巻と3巻のマーケットプレイス出品状況を見てみたんです。そしたら、、
1巻、3巻とも約12,000円での出品がっっ!!!
ふっかけ?これってリアルふっかけ?
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胃腸のお薬といったら正○丸だろ!ということで試しに飲んでみたら、戻ってきました。
体が異物とみなしたようですw
原因はさっぱりなんですが、「ストレスかなー」とボソッと言ったら「いや、それは無い」と即突込みが入ったのがちょっと納得いきません。
なんか悪いもの食ったのかなあ、、
それはさておきまして、
http://book.shinchosha.co.jp/cgi-bin/webfind3.cfm?ISBN=118174-8
ローマ人の物語文庫版24〜26巻「賢帝の世紀」、出てました。9/1発売だったようですね。いまさら気がつきました。久しぶりにアマゾンじゃなくて本屋で購入。
文庫じゃないほうのは現在14巻まで出ておりまして、どうやら2006年、つまり今年中には完結予定の模様です。今まで文庫のみで集めてたので、こっちを買うかどうかはちょっと微妙なところなんですが、、完結したら買っちゃうんだろうなあ。
ハードカバーの本は持ち歩きがしにくくてちょっと個人的にはアレなんですよね。買った本でも大き目の本ほど読まずに長い間残ってる傾向があります。
アレクサンドロス大王東征記 付インド誌
アッリアノス 著
大牟田章 訳
岩波文庫
インド誌、以前書いた「アレクサンドロス大王東征記」の下巻に付録的についてる文章でして、アレクサンダー大王がインド方面に遠征した際に、見聞きした風物やその他もろもろなどについて書かれています。
このインド誌、アッリアノスという人の著作なんですが、この人はアレクサンダー大王と同時代の人間ではなく、アレクサンダーの東征から400年ほど下った2世紀のローマの人です。
こういう状況で、過去の記録を元に書かれた文章ですので、当然不正確な記述ですとか、そういうのが多数出てくるわけなんです。それがこのインド誌の面白いところでありまして、リアルなネオアトラスっぽい世界を作り出しているわけなんです。
早速例を一つ。インダス川、ガンジス川についての記述です。
インドの河川はいずれも、他のアジアのどの河川も及ばぬほど大きい。<中略>この二本の川(インダス、ガンジス)ともエジプトのナイル川やスキュティアのイストロス(ドナウ)川より大きく、この両河(ナイル、イストロス)の流れがたとえ一本にまとまったとしても、それよりさらにいっそう大きい。
ガンジス川の川幅の広さはといえば、その最も狭まったあたりでも、およそ百スタディア(約17.8キロメートル)あり、、
ちなみにガンジス川の川幅は大体1キロがいいところだそうです。誇張されてます。
人間何かを報告するときには大抵大げさに報告したがるものですので、そのあたりが原因なんじゃないかと思われます。
あとはあれですかね、写本を作るときに「この方がなんとなく面白くね?」ぐらいのノリで意図的に誇張して写本作った人がいて、アッリアノスがそれをそのまま引用したとか。写本って結構こういうのがあったりするってのを昔聞いた記憶があります。
次の例。実在するある動物についての記述です。
外洋には化け物のような大魚が棲息している。<中略>沿岸を航行中、夜明け方のことだったが、水がまるで旋風の力で巻き上げられでもしたかのように、海から噴き上がるのを見たと語っている。
クジラですね。
クジラの存在を知らずに潮吹いてるのを見たら、確かに化け物かと思いますね、、
ちなみにこの「化け物」を発見した船の乗組員一同はこの後、大声で鬨の声を上げ、進軍ラッパを吹き鳴らしながら「化け物」へと突撃していきます。驚いたクジラは逃げて行ったんですが、それを見た船員の皆さんは以下のような反応を。
思いがけず危機を無事脱したことに、乗組員たちの拍手が沸き起こり、ネアルコス(この船の船長)の大胆と賢明に賞賛の声があがったのだった。
なんだかほほえましい光景です。
これ以外にもクジラに関する記述が。
この沿岸航行の間に、怪魚(クジラ)が海岸に打ち上げられているのが見られたという。<中略>体長はおよそ50ペキュス(22メートル)、その皮は鱗でおおわれていて、厚さは1ペキュス(44.4センチメートル)ほどにも達するうえ、、
残念、クジラに鱗はありません。
と、こんな感じの冒険記的な内容がつづられています。本編よりも面白かったです。

